- 動物が好きで、小動物臨床に進みたい!
でも、どんな動物病院に就職すればいいのかな? - そろそろ他の病院に移りたいけど、どうやって探せばいいのかな?
こういった疑問を抱えている、新卒・若手の小動物臨床獣医師は多いのではないでしょうか?
この記事では、動物病院選びの第一歩として
働く動物病院の絞り込み方
についてまとめました。
小動物臨床で働いている方、働こうと思っている方、ぜひ参考にしてください。
私は、新卒で動物病院に就職し、2回の転職を経てキャリアアップを実現できました。
動物病院選びに関しては、周りのスタッフの協力もあり、後悔はありません。
そんな私が考える、動物病院選びのノウハウをお伝えします!
動物病院の絞り込み方

動物病院の数は、全国に約12,000施設あります。
全ての動物病院を吟味していては、いくら時間があっても足りません。
そこで、それぞれの獣医師の先生のこだわりで、ある程度絞って動物病院を選んでいきましょう。
1. 地域で絞る
出身地、出身大学、特定の病気が多い地域、好きな地域、なんでもOKです。
例えば東京の中でも、都心では小型犬や猫の来院がほとんどで、大型犬は来ない場合もあります。
逆に、地方では大型犬の飼育率が高い地域もあり、大型犬を診たい場合には地方を選択するべきでしょう。
知り合いの獣医師は、趣味のダイビングを気軽に楽しみたいという理由で、ダイビングスポットに近い地域で絞っていました。
昨今話題のSFTSやバベシア症などのマダニ媒介性の感染症は、西日本に多い傾向があります。感染症の知識を身につけたい場合には、西日本での就職をおすすめします。
2. 専門分野で絞る
人医療と同様、専門科を設ける動物病院が増加しています。
一次病院であっても、得意分野を専門科として打ち出している動物病院もあります。
専門分野としては、
- 眼科
- 皮膚科
- 耳科
- 腫瘍科
- 神経科
- 整形外科
- 循環器科
- 歯科
- 画像診断科
- 麻酔科
- 行動診療科
- 救急科
- 泌尿器科
- エキゾチックアニマル科
- 放射線科
- リハビリ科
- 内視鏡外科
などさまざまです。
上記以外にも、病院ごとの特徴を打ち出している場合もあります。 ご自身が興味のある分野を選定してみてください。
3. 設備で絞る
最新の設備を導入することで、診療の質を上げる取り組みをしている動物病院も多くあります。
また、最新設備を導入している動物病院は、常に成長を続けようとする動物病院である場合も多くあるように感じます。
設備としては、
- 血液検査機器:用途や動物種によってさまざま
- X線(レントゲン)検査機器:CR(Computed Radiography)、DR(Digital Radiography)など
- 超音波(エコー)検査機器:メーカー、型番から最新のものか判断
- CT:より高度な画像診断を実施できます。CTがあると、「かなり大きい動物病院なんだな」という予測にもなる
- MRI:二次病院の場合が多い
- 眼科検査機器:眼科に力を入れているかどうかの判断
- 麻酔モニター・人工呼吸器:手術、集中管理をする上で重要。最新のものであれば、麻酔の技術を学ぶことも可能と思われる
- 手術器具:眼科、歯科、整形外科、神経外科、内視鏡外科など、得意とする分野の器具を取り揃えている
などが挙げられます。
専門分野についての設備があまり更新されていない場合、実は現在そんなに症例が来ていないという場合もあります。専門分野と併せての確認が重要です。
4. 給与で絞る
円安・物価高の昨今、給与は死活問題です。
動物の命を扱う職業であることからか、給与を求めることがタブー視されているように感じます。
個人的には、給与を求めることは全く悪いことではないと考えています。
小動物臨床の獣医師は、肉体的にも、精神的にも大変であり、動物の命を救うという大変素晴らしい職業です。スキルが伴っていない場合には限度がありますが、ぜひ妥協せずにいきましょう。
ちなみに、年代別の平均月収は以下の通りです。 平均月収と比較して、妥当な給与かどうかも判断基準としてください。
年代 | 平均月収 |
---|---|
20〜24歳 | 36.5万円 |
25〜29歳 | 40.6万円 |
30〜34歳 | 48.7万円 |
35〜39歳 | 59.0万円 |
40〜44歳 | 70.3万円 |
45〜49歳 | 84.2万円 |
50〜54歳 | 84.2万円 |
55〜59歳 | 97.1万円 |
厚生労働省 職業情報提供サイト「job tag」獣医師
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/223
5. 人員・教育体制で絞る
若手獣医師、特に新卒獣医師は、
- どんな先輩獣医師がいるのか
- 先輩獣医師は、どんなキャリアを築いているのか
- 愛玩動物看護師は何人いるのか
- 職場の雰囲気は良いか
- 1日に出勤する獣医師・愛玩動物看護師は何人か
- 教育スケジュールは定められているか
- バディとなる獣医師の人柄はどうか
など、人員や教育体制で絞り込むことも大切です。
ただし、職場の雰囲気や人柄については、実際に見学に行かないとわかりません。
見学に行く前に、病院のHPやSNS、口コミなどから、ある程度予測してみましょう。
絞り込みは、動物病院選びの最初の一歩

みなさん、ここまでお読みになって、いかがでしたでしょうか?
「動物病院、たくさんありすぎて選べないです…」という声、実習に来てくださる学生さんからもよく耳にします。 そんなみなさんの思考を整理するのに、少しでもお役に立てれば幸いです。
動物病院への就活は、完全な売り手市場
正直、今は動物病院の数に対して獣医師の数が圧倒的に不足しています。 そのため、就職できないということはあまりないはずです。よほどの問題を抱えていなければですが。
だからこそ、働く動物病院選び、特に最初に働く動物病院選びは、じっくりと考えて選ぶべきだと感じます。
私も、最初に勤務する動物病院の選択が運良くうまくいったことで、いろんなことを経験させていただき、 獣医師としても、先輩獣医師としても、成長する機会をいただけました。最初の動物病院選びを間違えなかったことで、今のキャリアにつながっていると感じています。
中には、「合わなかったらすぐに辞めたらいいや」という考えの人もいます。これは社会問題にもなっていますが。退職代行とか、すごい業態ですよね。 もちろん、辞めてはいけないというわけではないのですが、また動物病院選びを1から行うのは、結構大変です。 また、何回も退職を繰り返していると、雇う側としても、「この人また辞めるんじゃないかな?」とちょっと警戒してしまいます。 皆さんと動物病院のスタッフの時間を有効活用するためにも、働く動物病院選びはしっかり考えて行いましょう。
今回は、働く動物病院の絞り込み方について述べました。 次回は、絞り込んだ条件をもとにした、動物病院の探し方を述べさせていただきます。
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