はじめに
就職・転職を考えている獣医学生・獣医師の皆さんの中には、
まずはWeb上で検索をかけて、動物病院のホームページを見にいく
という方も多いのではないでしょうか?
ただ、動物病院のホームページの形式は多種多様で、
どこをどう見て判断したら良いのかわからない
という方もいるかと思います。
そこで今回は、
動物病院のホームページはここを見よう!
というテーマでお話ししていきたいと思います。
私も、前職・現職の両方で、動物病院のホームページの作成に携わっており、
ホームページ作成業者とのやりとりを通して、
- どういった所に気をつけて作成するべきなのか
- 求職者・飼い主の得たい情報は何なのか
について学ばせていただきました。
それらの経験を参考に、お話ししていきたいと思います。
動物病院のホームページって必要なの?
SNSが急速に広がりを見せている現在、HPの必要性について疑問を持たれる方もいるかもしれません。
結論、動物病院のホームページは必要です。
理由は以下の通りです。
SNSは、以前の投稿がどんどん流れていってしまう
SNSは、非常に優秀なツールです。動物病院が運営しているSNSとしては、
Instagram、TikTok、X(旧Twitter)、Facebook、LINE
などが一般的でしょう。
- 飼い主向けの情報発信
- 院内雰囲気のアピール
- 各種キャンペーンの周知
- 症例紹介
など、多くの情報をタイムリーかつ臨場感を持って伝えることができます。
しかし、(もちろん各SNSの特徴にもよりますが)基本的に情報が流れていってしまう場合が多いです。
本当に伝えたいこと、例えば
- 病院理念
- 得意分野
- 院内設備
- 雇用条件
などの多岐にわたる情報を、常にアクセスしやすい状況にするのは困難です。
病院に関する1番の情報源として、ホームページは用意しておいた方が良いでしょう。
飼い主目線:SNSの情報だけでは、信頼を得られない場合がある
SNSの情報発信は、親しみやすさを訴求するために行われることが多いです。
- スタッフ紹介
- 院内紹介
- スタッフのペット紹介
- 〇〇に獣医師が答えます!
- 診療風景の撮影(主に予防・軽症例)
- パピークラスなどの撮影
など、主にほんわかするような投稿が多いと思います。
若齢動物の飼い主で、予防で通う動物病院を選びたいという場合には、これらの情報で十分です。
しかし、病気を抱えている動物の飼い主の場合には、より医療的な情報、例えば、
- 専門分野
- 専門医、認定医の在籍
- 手術実績
- 院内設備
などの情報を求める場合もあります。
手術風景や、ターミナルケアなど、SNSでデリケートな内容に踏み込む動物病院もありますが、
炎上のリスクもあることから、そこまで多くない印象です。
飼い主の求める情報を揃え、信頼を獲得するという意味でも、ホームページは重要でしょう。
求職者目線:SNSの情報だけでは、不十分な場合がある
求職者目線でも、SNSの情報だけでは不十分な場合があります。
求職者が得たい情報としては、先ほどの飼い主と似ている部分もありますが、
- 給与
- 福利厚生
- 専門分野
- 専門医、認定医の在籍
- 手術実績
- 院内設備
- スタッフ情報
- 教育方針
- キャリアプラン
など多岐にわたると思います。
これらの情報を、SNSで投稿して、風化しないように更新していくのはかなりの手間になると思います。
求職者に対する情報の、「ハブ」としての役割を担ってもらうためにも、ホームページ作成は必要と考えられます。
動物病院のホームページはここを見よう!
以上のように、ホームページは、必ずと言っていいほど動物病院が用意すべきであるものです。
逆に言うと、ホームページがない動物病院は、「ちょっと大丈夫かな?」と疑問を持った方が良いかと思います。
病院のホームページで見るべき項目について、3つの観点からまとめてみました。
動物病院のホームページはここを見よう! ①病院の専門性
どんな専門科があるのか?
動物病院の数は年々増え続けているため、
差別化のために専門科を設ける動物病院も増えています。
それぞれの得意分野を
病院紹介、医院紹介、当院について
などのページから確認しましょう
どんな設備があるのか?
専門性を評価する上で、設備は非常に重要です。
専門性を謳っていても、診察に必要な器具が揃っておらず、
院長の経験と勘に頼っている
なんてことも結構あります。
少しだけ例を出しておくと、
- 眼科:スリットランプ、眼圧計、網膜電図(ERG)など
- 循環器科:超音波検査機器、心電図(ECG)、血圧計、ホルター心電図、X線透視装置など
- 腫瘍科:超音波検査機器、顕微鏡、各種抗がん剤、(CT、MRI)など
- 整形外科:X線検査機器(CR、DR)、外科用ドリル(メーカーも含めて)、各種プレート・ピンなど
自分が興味のある分野ですので、
これは揃えておいてほしいという器具は、ある程度知識をお持ちかと思います。
必要な器具が揃っているかは、
病院紹介、医院紹介、当院について
などのページから、しっかり確認しましょう。
どんな専門スタッフがいるのか?
専門性を打ち出すからには、担当の獣医師が存在しています。
スタッフ紹介のページから、
担当医の経歴・資格・年齢・発表歴・セミナー参加歴
などについて確認しておきましょう。
注意点としては
- 常勤の獣医師が担当しているわけではない場合がある
外部講師を呼ぶことで、専門科を立ち上げる場合も多くなっています。
月1〜2回の来院で、専門科を打ち出している場合、その分野を勉強したいと思っていても、十分な経験が得られない場合もあります。
ただし、有名な先生であることも多いので、勉強になるのは間違いありません。
自分のニーズに応じて決定しましょう。 - 開業当時あるいはホームページ開設当時と、現在の状況が異なる場合がある
開業当時やホームページ開設当時に院長を中心に始めた専門分野が、現在は行われていない場合もあります。
例えば、
腫瘍科はあるけど、今はあまり詳しい人がいない
腹腔鏡外科の設備はあるけど、院長以外はできない。その院長は月に1、2回しか来ない
などのケースがあります。
立ち上げられている専門科と、現状が合っているかどうか、慎重に見極めましょう。
動物病院のホームページはここを見よう! ②働き方とキャリアプラン
どんな働き方ができるのか?
勤務時間、休日、残業時間、宿直の有無など、具体的な実情を知りたいところです。
これらの情報は、
採用情報、スタッフ紹介
などのページに載っていることが多いと思います。
中には、1日の流れや、スタッフインタビューを載せてくれている動物病院もあります。
100%信用して良い情報ではありませんが、参考にしてください。
どのように成長できるのか?
教育プラン、キャリアプランについての情報を見つけましょう。
これも、
採用情報、スタッフ紹介
に載っていることが多いです。
教育プランについては、ある程度載せてくれているところも増えていますが、
小さな動物病院では、あまり決まっていないことも多いです。
ただし、決まってないから悪いわけではないのでご注意を。
逆にマンツーマンで教えてもらえる環境は、大規模な動物病院では整えられません。
どちらが良いかはご自身の性格次第ですが、教育プランについての情報があれば参考にしましょう。
キャリアプランについては、
- 〇〇年目で年収〇〇万円
- 〇〇年目に分院長就任
のような形で今までのケースを載せてくれている場合もあります。
自分の求めるキャリアを叶えられる可能性があるのか、参考にしてください。
動物病院のホームページはここを見よう! ③職場の雰囲気と人間関係
どんな人が働いているか?
これは、
スタッフ紹介、当院について
などのページから確認しましょう。
スタッフの経歴や名前を詳細に記載しているところもあれば、
大まかな情報のみを載せているところもあります。
その場合、ブログやSNSに足を運んで、スタッフの表情を確認しましょう。
ある程度のことは、スタッフの顔を見ればわかってきます。本当に働いていて楽しければ、表情によく出てきます。よく観察してみてください。
職場の文化はどうか?
最も重要なのは、その動物病院の理念だと思います。
これは、
トップページ、当院について
などのページから確認しましょう。
- 理念に共感できない
- そもそもホームページに理念の記載がない
という動物病院は、選ぶべきではないと思います。
最終的にご自身もその動物病院で働くこととなった場合、必ずトラブルに巻き込まれることが出てきます。
そんな時に一番の指標になるのは、理念です。
どんな状況にあっても、理念に基づいて行動していけば、
最終的には動物・飼い主・スタッフのためになると思いますので、必ず確認するようにしましょう。
まとめ
今回は、動物病院のホームページでどこを見るべきかについてお話ししました。
見るべき点は、
- 病院の専門性
- 働き方とキャリアプラン
- 職場の雰囲気と人間関係
の3点に分けて考えましょう。
情報が溢れている現代にあって、動物病院選びの情報源は多様化しています。
そんな中でも、常に軸となるのはホームページではないでしょうか?
今後変化があるかもしれませんが、少なくとも今はホームページの重要性を否定する意見は少ないと思います。
是非参考にしてみてください。
今勤めている動物病院にも、これらの情報が入っているかどうか、確認してみてください!
それではまたお会いしましょう!

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